SE(たぶん)の雑感記

一応SEやっている筆者の思ったことを書き連ねます。会計学もやってたので、両方を生かした記事を書きたいと考えています。 でもテーマが定まってない感がすごい。

「減価償却の自己金融効果」についてまとめてみた

会計学の書籍ではよく、 減価償却には自己金融効果があるよ! と説明されます。
頭には入っていたのですが、よくわかっていませんでした。

最近、『新・現代会計入門 第2版』を読んでいて、やっと腑に落ちたので、メモとして書いておきます。
なお、個人の見解を多分に含むことをご了承ください。

減価償却の自己金融効果」とは

一言で言うと、「減価償却した金額は、企業に内部留保される」効果のことをいう。

なに…?

上だけでは、全く説明にならないので、必要な知識を挙げていきます。
(固定資産って何?簿記って何?みたいなのは省きます)

減価償却

取得時に資産として計上された固定資産を、毎期規則的に費用化していく手続きのこと。

固定資産を導入したら、それを使っている間は「収益を生み出す」恩恵を受けられます。 そこで、取得価額を分割して、収益を生み出している期間の費用として認識していいですよ、という感じです。 (期間対応とかいろいろあるけど、割愛)

内部留保

企業(株式会社を想定。以下同様)が稼得した利益のうち、企業内部に蓄えられる金額のこと。

分配可能額

企業が、株主へ配当できる限度額。
ここでは便宜上、乱暴ではあるが、税金等は無視して「利益は半分配当する」ものとします。
(※配当規制はルールがあるので、そこは調べてもらえると…)

繰越利益剰余金

利益をためている勘定科目。

減価償却が無い場合

収益 - 費用 = 利益
→120 - 90 = 30

よって、

となります。

減価償却がある場合

減価償却が「20」発生したとします。 収益 - 費用 = 利益
→120 - (90 + 20) = 10

よって、

となります。

現金(キャッシュフロー)に着目する

上を見て、「内部留保増えてないじゃん!」となるかもしれませんが、その通りです。
ただ、現金の流れを見ると違いがあります。
なお、減価償却は「現金支出を伴わない費用」です。

減価償却が無い場合

収入 - 支出 = 現金収支
→売上 - (仕入 + 配当) = 現金収支
120 - (90 + 15) = 15

減価償却がある場合

収入 - 支出 = 現金収支
→売上 - (仕入 + 配当) = 現金収支
120 - (90 + 5) = 25

なんと、「内部留保 + 減価償却費」の額が、現金収支となります。
あくまで、会計上、内部留保として計算される額は、「5」ですが、現金収支は「25」です。

結果

収益費用等の科目に着目した場合、減価償却があると、利益が減っています。結果として、配当も内部留保も減ります。
しかし、現金収支上は、企業が自由にできる金額が増えることとなります。
「計算上の内部留保より、自由にできる現金が増えている」ことから、「自己金融効果」と言っているようです。

なんかおかしくない?

内部留保と帳簿に書いてある額と、企業が実際に内部に持っている金額が違います。
おかしくない?と思う人もいると思います。

貸借対照表や損益計算書はそういうもの、と言うしかありません。

ただ、そもそも会計自体「発生主義」を採用していますから、現金収支を伴わない収益や費用なんて、いくらでもあります。
逆に、現金収支はあるけど、収益や費用にしないものもあります。(固定資産購入もそうだし)

現金収支を知るには

上記のように、貸借対照表と損益計算書では、現金収支を知ることはできません。
これは昔から問題になっていたようで、そのために「キャッシュフロー計算書」というものができました。

「キャッシュ(現金)フロー(流れ)」という名前のように、この計算書は「現金の流れ」を明確にするためのものです。

上記の、減価償却費の有無の例を使うと、キャッシュフロー計算書上、「営業活動によるキャッシュフロー」は「30」となります。

結局、何だったのか

減価償却の自己金融効果」は、「現金支出を伴わない費用が発生するとどうなるか」を示すための例、と私は思います。
見かけ上利益があっても現金が無かったり、反対に損失があっても現金があったりと、そういうことがあるのは、こういうものの積み重ねです。
(いわゆる「資金繰り」)

猛烈に話が脱線しましたが、私なりのまとめということで。