KanbanFlowを使って一人カンバンをやった話(『カイゼン・ジャーニー』と絡めて)
『カイゼン・ジャーニー』を読んだ方は、もうカンバンを使われているのでしょうか?
本の主人公がまずやったのが、状態の見える化でした。
その中で使われたのがタスクボードで、紙と付箋で作られたものです。
私も、本が出る前から、一人でタスクボードを作って運用していました。
もしかしたら、これから動き始めようと思っている人の役に立つか?と思い、事例を紹介します。
使い始めた動機
転職してから、複数の業務を同時に回すことが増えました。
業務は徐々に増えていく、という感じであり、頭で管理できる限界が来るのは、容易に想像できました。
そこで、個人のタスクを管理する手段として、カンバンにたどり着きました。
使っているツール
KanbanFlowというものです。
既に、一年近く一人で使っています。
本来の用途としては、
Lean Project Management. Simplified.
と、書いてあるのですが、個人タスクの管理として使うと、非常に良い感じです。
カンバンのツールはいくつかあるのですが、これを使っているのは、『SOFT SKILLS』の影響です。*1
『SOFT SKILLS』の筆者は、二週間分のタスク管理として、KanbanFlowを使っています。
紙じゃない理由
紙と付箋で作るタスクボードは、状況が一目でわかることから、大変便利です。
しかし、それが使えない場合もあります。
例えば私の場合、
- 会社が固定デスクではない
- 客先で作業(部屋は借りられるが)する場合が多い
という事情があり、紙でタスクボードを作るのは、現実的に難しいです。
よって、Webで使える点、個人でも無料で使える点、UIが非常に単純な点、列の追加ができる点等を考え、KanbanFlowを使っています。
使い方
作成直後
ボード作成直後のデフォルトでは、
のようになります。
既定では
状態 | 説明 |
---|---|
To-Do | やるべきこと |
Do Today | 今日やること |
In Progress | 実行中のタスク |
Done | 終わったタスク |
列は10個まで自由に追加できます。
利用例
実際に業務で使っているボードの画面です。
ただし、見せてはいけないタスクは、フィルターで非表示にしています。
IceBoxは、大部分が隠れていますが、ここだけ画面下までタスクが埋まっています。
列は、
状態 | 説明 |
---|---|
IceBox | 貯蔵庫。当面気にしない。時間ができたらやる |
Repeat | 定期的に繰り返すタスク |
Sprint Backlog*2 | 直近やる必要があるタスク |
Do Today | 今日やること |
In Progress | 実行中のタスク |
Done | 終わったタスク |
画像の時点が土曜日なので、今日やることも実行中タスクもありません。
ボード上、基本は右にタスクを動かしていきます。
動かすのは、マウス(タッチの場合長押し)でつかむだけで、非常に簡単です。
スマホでも使える
Webのツールなので、スマホでも使えます。
というか、スマホ用にも最適化されています。
ボード全体は見えませんが、タスクの移動等は簡単にできます。
良い機能
繰り返し
タスク一つ一つに、期限を設定できます。
そこでRepeat
設定を行うと、「このタスクがDoneに移動したら、この期限のタスクを新しく作って」みたいなことができます。
たとえば、朝会というタスクは、
Doneに行ったら、次のタスクをRepeatに作る。期限は直近の月曜~金曜
という設定にしています。
これにより、毎日朝会を実施→明日のタスクは自動作成、というサイクルを回しています。
『カイゼン・ジャーニー』にでてきた「ふりかえり」も、完全に習慣づくまでは、KanbanFlowで実施しています。
週一、月曜の12時までに終わっていなかったら警告が出る、という設定です。*3
色分け、ラベル
画像の見た目で分かりますが、各タスクに色を付けたり、ラベル付けできます。
これにより、重要なものを目立たせたり、ラベルによるフィルターをかけたりできます。
色分けは好きなように使ってよいみたいです。
タイマー(ポモドーロテクニック)
KanbanFlowには、ポモドーロタイマーというタイマーが付いています。*4
ポモドーロとは、トマトのことです。(関係ないリンク)
一体何のことか、と言いますと、キッチン雑貨でよくあるような、トマト型のタイマーをイメージしてください。時間が来るとピピピ、と鳴るやつです。
あれで時間を測り、その間は集中して仕事をやる!というテクニックのことです。
詳細はググったり、『SOFT SKILLS』38章にありますので、そちらを参照してください。
タイマーの存在により、タスクの時間を計測したり、集中の補助となったりして、とても便利です。
私自身の感想ですが、25分集中するとすごく疲れます。
しかし、休憩も定期的に取れますし、進捗も目に見えますし、何より集中できるので仕事が進みます。
WIP制限
WIPとは、仕掛中タスクの個数を指します。
この数が一定を超えているとき、警告を出せます。
個人でタスクをやる際、WIP制限を超えている場合は、タスク実施そのものを見直すべきなのでしょう。
WIP制限を超えない、ごまかしに近い方法としては、タスクを細かく区切ることです。
小さな単位で完了を決め、(タスク1と、後続タスク2を定義したものとして)それぞれのタスクを登録します。
一つが終わったら「Done」に持っていき、割り込みタスクを先に「In Progress」に入れる。
そして終わったら、後続タスク2を「In Progress」に入れる、のように進めると、WIP制限は回避できます。
つまり、概念上はシングルタスクにするようにします。
まあ、WIP制限を超えそうな時点で、調整を入れるべきだとは思います。
朝会・ふりかえり
『カイゼン・ジャーニー』で出てきたテクニック、朝会とふりかえりですが、これもKanbanFlowを使っています。
朝会もふりかえりも、KanbanFlowの繰り返し機能によって、タスクとして登録されています。
KanbanFlowを使って、何をしているのか書いてみます。
朝会でやること
- 前日に、Doneに持って行ったタスクの確認
- 新たなタスクの確認(見つかったら、状態に応じて、IceBoxまたはSprint Backlogに入れる)
- Do Todayの決定
これは、通常はSprint BacklogまたはRepeatから遷移させます。
なお、前日予定タスクがこなせていない場合、「Do Today」に前日のタスクが残ります。 これはしょうがないことです。予定通りに進まないこともあります。
ふりかえりでやること
まだ始めたばかりです。
基本的には、一週間の総括と、KanbanFlow外で実施しているKPTを、KanbanFlowのタスクに反映させています。
Sprint Backlogの見直し
特に、一週間動いていないタスクは、必ず見直します。IceBoxのタスク見直し
- KPTを見て、必要なタスクをIceBoxまたはSprint Backlogに入れる
また、一週間の間に行ったタスクと、できなかったタスク、残っているタスク等を勘案し、KPTを再立案します。
KPTは、いい管理方法が思いつかないので、当面はMarkdown
で残しています。
効果
KanbanFlowを使った、具体的な効果として、
というものがあります。ごく普通の効果ですね。
なお、タスク期日を過ぎるとメール通知が行われるので、安心です*7。
おわりに
カンバンの作り方は、人それぞれだと思っています。
『カイゼン・ジャーニー』に、
プラクティスは強力だけども、手順をそのまま自分たちの状況にあてはめようとしたところで、うまくいかない
という言葉が出てくるように、自分に合った方法を試行錯誤して、見つけるものだろうと思っています。
本を読んでから、改めてKanbanFlowの使い方を見直した、という面もあります。
なので、朝会とふりかえりが増えたのは、ここ二週間の出来事です。
なんでもいいから、できることから始めると、見えてくるものがあると思います。
ではでは。