SE(たぶん)の雑感記

一応SEやっている筆者の思ったことを書き連ねます。会計学もやってたので、両方を生かした記事を書きたいと考えています。 でもテーマが定まってない感がすごい。

KanbanFlowを使って一人カンバンをやった話(『カイゼン・ジャーニー』と絡めて)

カイゼン・ジャーニー』を読んだ方は、もうカンバンを使われているのでしょうか?

本の主人公がまずやったのが、状態の見える化でした。
その中で使われたのがタスクボードで、紙と付箋で作られたものです。

私も、本が出る前から、一人でタスクボードを作って運用していました。
もしかしたら、これから動き始めようと思っている人の役に立つか?と思い、事例を紹介します。

使い始めた動機

転職してから、複数の業務を同時に回すことが増えました。
業務は徐々に増えていく、という感じであり、頭で管理できる限界が来るのは、容易に想像できました。
そこで、個人のタスクを管理する手段として、カンバンにたどり着きました。

使っているツール

KanbanFlowというものです。

kanbanflow.com

既に、一年近く一人で使っています。
本来の用途としては、

Lean Project Management. Simplified.

と、書いてあるのですが、個人タスクの管理として使うと、非常に良い感じです。

カンバンのツールはいくつかあるのですが、これを使っているのは、『SOFT SKILLS』の影響です。*1

honto.jp

『SOFT SKILLS』の筆者は、二週間分のタスク管理として、KanbanFlowを使っています。

紙じゃない理由

紙と付箋で作るタスクボードは、状況が一目でわかることから、大変便利です。
しかし、それが使えない場合もあります。

例えば私の場合、

  • 会社が固定デスクではない
  • 客先で作業(部屋は借りられるが)する場合が多い

という事情があり、紙でタスクボードを作るのは、現実的に難しいです。
よって、Webで使える点、個人でも無料で使える点、UIが非常に単純な点、列の追加ができる点等を考え、KanbanFlowを使っています。

使い方

作成直後

ボード作成直後のデフォルトでは、

f:id:hiroronn:20180310122000p:plain

のようになります。

既定では

状態 説明
To-Do やるべきこと
Do Today 今日やること
In Progress 実行中のタスク
Done 終わったタスク

列は10個まで自由に追加できます。

利用例

f:id:hiroronn:20180310121558p:plain

実際に業務で使っているボードの画面です。
ただし、見せてはいけないタスクは、フィルターで非表示にしています。
IceBoxは、大部分が隠れていますが、ここだけ画面下までタスクが埋まっています。

列は、

状態 説明
IceBox 貯蔵庫。当面気にしない。時間ができたらやる
Repeat 定期的に繰り返すタスク
Sprint Backlog*2 直近やる必要があるタスク
Do Today 今日やること
In Progress 実行中のタスク
Done 終わったタスク

画像の時点が土曜日なので、今日やることも実行中タスクもありません。

ボード上、基本は右にタスクを動かしていきます。
動かすのは、マウス(タッチの場合長押し)でつかむだけで、非常に簡単です。

スマホでも使える

Webのツールなので、スマホでも使えます。
というか、スマホ用にも最適化されています。

f:id:hiroronn:20180310123816p:plain

ボード全体は見えませんが、タスクの移動等は簡単にできます。

良い機能

繰り返し

タスク一つ一つに、期限を設定できます。
そこでRepeat設定を行うと、「このタスクがDoneに移動したら、この期限のタスクを新しく作って」みたいなことができます。

たとえば、朝会というタスクは、

Doneに行ったら、次のタスクをRepeatに作る。期限は直近の月曜~金曜

という設定にしています。
これにより、毎日朝会を実施→明日のタスクは自動作成、というサイクルを回しています。

カイゼン・ジャーニー』にでてきた「ふりかえり」も、完全に習慣づくまでは、KanbanFlowで実施しています。
週一、月曜の12時までに終わっていなかったら警告が出る、という設定です。*3

色分け、ラベル

画像の見た目で分かりますが、各タスクに色を付けたり、ラベル付けできます。
これにより、重要なものを目立たせたり、ラベルによるフィルターをかけたりできます。

色分けは好きなように使ってよいみたいです。

タイマー(ポモドーロテクニック

KanbanFlowには、ポモドーロタイマーというタイマーが付いています。*4

ポモドーロとは、トマトのことです。(関係ないリンク
一体何のことか、と言いますと、キッチン雑貨でよくあるような、トマト型のタイマーをイメージしてください。時間が来るとピピピ、と鳴るやつです。
あれで時間を測り、その間は集中して仕事をやる!というテクニックのことです。

詳細はググったり、『SOFT SKILLS』38章にありますので、そちらを参照してください。

タイマーの存在により、タスクの時間を計測したり、集中の補助となったりして、とても便利です。

私自身の感想ですが、25分集中するとすごく疲れます。
しかし、休憩も定期的に取れますし、進捗も目に見えますし、何より集中できるので仕事が進みます。

WIP制限

WIPとは、仕掛中タスクの個数を指します。
この数が一定を超えているとき、警告を出せます。

e-words.jp

個人でタスクをやる際、WIP制限を超えている場合は、タスク実施そのものを見直すべきなのでしょう。

WIP制限を超えない、ごまかしに近い方法としては、タスクを細かく区切ることです。
小さな単位で完了を決め、(タスク1と、後続タスク2を定義したものとして)それぞれのタスクを登録します。
一つが終わったら「Done」に持っていき、割り込みタスクを先に「In Progress」に入れる。
そして終わったら、後続タスク2を「In Progress」に入れる、のように進めると、WIP制限は回避できます。
つまり、概念上はシングルタスクにするようにします。

まあ、WIP制限を超えそうな時点で、調整を入れるべきだとは思います。

朝会・ふりかえり

カイゼン・ジャーニー』で出てきたテクニック、朝会とふりかえりですが、これもKanbanFlowを使っています。
朝会もふりかえりも、KanbanFlowの繰り返し機能によって、タスクとして登録されています。

KanbanFlowを使って、何をしているのか書いてみます。

朝会でやること

  • 前日に、Doneに持って行ったタスクの確認
  • 新たなタスクの確認(見つかったら、状態に応じて、IceBoxまたはSprint Backlogに入れる)
  • Do Todayの決定
    これは、通常はSprint BacklogまたはRepeatから遷移させます。

なお、前日予定タスクがこなせていない場合、「Do Today」に前日のタスクが残ります。 これはしょうがないことです。予定通りに進まないこともあります。

ふりかえりでやること

まだ始めたばかりです。
基本的には、一週間の総括と、KanbanFlow外で実施しているKPTを、KanbanFlowのタスクに反映させています。

  • Sprint Backlogの見直し
    特に、一週間動いていないタスクは、必ず見直します。

  • IceBoxのタスク見直し

  • KPTを見て、必要なタスクをIceBoxまたはSprint Backlogに入れる

また、一週間の間に行ったタスクと、できなかったタスク、残っているタスク等を勘案し、KPTを再立案します。
KPTは、いい管理方法が思いつかないので、当面はMarkdownで残しています。

効果

KanbanFlowを使った、具体的な効果として、

  • タスク漏れが減った
  • タスクを細かく区切る癖がついた*5
  • やるべきことが管理できるようになった
  • 期間が空いても、やるべきことが比較的早く*6思い出せる

というものがあります。ごく普通の効果ですね。

なお、タスク期日を過ぎるとメール通知が行われるので、安心です*7

おわりに

カンバンの作り方は、人それぞれだと思っています。
カイゼン・ジャーニー』に、

プラクティスは強力だけども、手順をそのまま自分たちの状況にあてはめようとしたところで、うまくいかない

という言葉が出てくるように、自分に合った方法を試行錯誤して、見つけるものだろうと思っています。
本を読んでから、改めてKanbanFlowの使い方を見直した、という面もあります。
なので、朝会とふりかえりが増えたのは、ここ二週間の出来事です。

なんでもいいから、できることから始めると、見えてくるものがあると思います。

ではでは。


*1:第37章:私の生産性向上策を明かそう

*2:呼称は適当。スプリントを組んで仕事しているわけではない

*3:基本的には、週の最終営業日に終わらせる

*4:通常のストップウォッチもある。また、AndroidのWebアプリではポモドーロは使用不可

*5:ポモドーロテクニックを使う上では、大きすぎるタスクは管理しづらいため、小さくしないと難しい。

*6:一切管理していない場合と比較して。

*7:無視しなければ。